語学は暗記ではない

語学は暗記だと思っている人は多い。事実そのような教育はある。極端な例を挙げてみよう。日本の大学で一切の解説無しに、フランス語なりドイツ語なりの文をひたすら学生に暗唱させている外国人の先生もいる。おそらくそのように本人が教育されたのだろう。イギリス人にフランス語やドイツ語をそのように教えて成功することがある。フランス人にロシア語やドイツ語をそのように教えて成功することがある。それは語彙も文法も大枠で似ているからだ。しかし日本人にそういう教育をしてもなかなか効果はない。これほど極端ではないにしても英語を暗記として押し付けていくと、特に理系の高校生に英語に対する嫌悪感が生まれる原因になる。小学生に文法を教えることはできない。抽象的な思考能力がまだ育っていないからだ。だから小学生の英語は英米の子供のするままごと遊びになり、中学校で熱心に勉強しだした生徒にすぐに追い抜かれてしまい、劣等感が抜きがたく残る。中学生ころから抽象的な思考ができるように普通は成長する。だから小学生には具体的な算数が教えられ、中学生には数字を文字であらわした代数が教えられる。理系の生徒は代数が好きで、抽象的な思考が育っている子が多い。彼らは納得できないことは受け入れない。だから彼らに納得できるように英語を教えてあげれば、すぐにできるようになる。文法はもともと難しい古代ギリシア語を何とかやさしく学ぶためにできた道具である。短期間で外国語を学ぶ最も能率的な方法はいまだに文法しかない。

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